朝日新聞(2003.3.13)より
大学・短大増える募集停止
「倒産時代迫る」 4年間で17校に
 
 少子化が進む中、経営難や将来性のなさから大学・短大の学生募集停止が相次いでいる。03年度までの4年間に計17大学にのぼり、中には生き残りをかけて4年制へ転換し失敗した大学もある。18歳人口はこの10年で約205万人から約150万人に減った。募集停止は、今のところ地方の単科短大に集中しているが、私大関係者は「4年制も含め大学の倒産時代が迫っている」と戦々恐々だ。
 文部科学省によると、募集停止は00年度は1大学だったが、01、02年度が各4大学、03年度が8大学と年々増えている。
 この17大学のうち、「今後の計画は未定」という七尾短大(石川県七尾市)と香川県明善短大(高松市)を除き、2大学はすでに廃学し、13大学が学生が卒業した時点で文科省に廃学を申請する見通しだ。
 英語科のみの単科短大、清真学園女子短大(茨城県鹿嶋市)は、02年春から募集を停止した。入学定員は一○○人だが、01年春の入学者は約30人。艇年の開学当時は、「女子が自宅から通える場所に短大ができた」と地元に大歓迎された。
 だが、いまは高校を回っても短大の志願者そのものがいない。「短大で学生を集められるのは『介護福祉』『保育』など、職業につながる資格を取れる学科だけでは」と同短大職員は話す。
 栄養学などを学ぶ生活学科の単科短大、香川県明善短大は03年春の募集を停止した。90年代初めには、定員を超える360人ほどの学生がいたが、5、6年前から入学生は減り始め、昨春は約50人に落ち込んだ。
 人気に陰りが見える短大から脱しようと、98年度以降、毎年10-20の短大が4年制大学に転換している。だが00年に短大から転換した立志舘大(広島県坂町)は昨年末、4年制大学で初めての休学を決めた。
 短大時代は付属高校を中心に毎年100人程度は入学してきたが、転換した途端、知名度の低さが響き、入学生は30人台に低迷した。
 進藤育明理事長は「少子化で大学受験が容易になり、受験生は都市部にある知名度の高い私大を目指すようになった。もっと慎重に市場調査をすべきだった」と話す。
 日本私立学校振興・共済事業団の調べでは、02年度の私立短大の志願者数は約19万7千人で、10年前の4分の1以下に。この結果、私立短大の48%が定員割れした。
 大学経営に関する雑誌「カレッジマネジメント」の中津井泉編集長は「学生不足で苦しいのは4年制私大も同じ。職業に結びつく技能教育や、社会人を対象にした教育をするなど、社会のニーズを把握して変わらなけれは大学は生き残れない」と話している。

 学生募集の停止を決めた全国の大学・短大( )は募集停止時期
学校名 所在地
立志舘大
七尾短大
拓殖短大(夜間)
広島中央女子短大
香川県明善短大
神戸市看護大短大部
神戸女子大瀬戸短大
千葉短大
清真学園女子短大
明の星女子短大
ノートルダム清心女子短大
広島修道大短大部(夜間)
東京女学館短大
東京電機大短大(夜間)
洗足学園魚津短大
PL学園女子短大
中央商科短大(夜間)
広島県坂町
石川県七尾市
東京都文京区
広島市
高松市
神戸市
岡山県瀬戸町
千葉県市川市
茨城県鹿嶋市
さいたま市
広島市

東京都町田市(01年度)
東風都千代田区(同)
富山県魚津市
大阪府冨田林市
千葉県我孫子市
(03年度)
(同)
(同)
(同)
(同)
(同)
(同)
(同)
(02年度)
(同)
(同)
(同)
(同)
(同)
(同、02年に廃学)
(01年度)
(00年度、01年に廃学)