教育基本法の改正関連記事3月
日経新聞(2003.3.4)から
「国を愛する心」含む8項目

教育基本法新理念  中教審が答串素
 教育基本法の見直しを審議している文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は三日、答申の素案を公表した。新たに法に規定する理念として「国を愛する心」や「『公共』の精神の涵養(かんよう)」などを盛り込み、中間報告での骨格を維持した。議論が分かれていた宗教教育では、知識・教養の教育に重点を置くとした。
 中教審は素案を基に月内にも最終答申をまとめる方針。
 昨年十一月の中間報告では、冒頭に前文を置くかどうか、宗教教育をどう記述するかなどが課題となっていた。
 素案は「教育の基本を確立する法の重要性を踏まえ、その趣旨を明らかにする」として、前文を置く必要性を強調。「人格の完成」や「個人の尊厳」「真理と平和を希求」など、現行法にある基本的な考え方も「引き続き規定することが適当」とした。
 そのうえで「『公共』の精神、道徳心、自律心の涵養」や「日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養」など、新たな理念八項目を前文か条文に規定することを求めている。
 宗教教育では知識としての教育にとどめるのか、「宗教的情操」の育成という"心の教育"にまで踏み込むかで意見が分かれていた。答申素案は国際理解の観点から「宗教に関する寛容の態度や知識、宗教の社会生活における意義を尊重するとが重要」として知識面に重点を置いた。情操の育成については「大変重要」としたものの、具体的な取り組みには言及していない。
 また現行法の「男女共学」については「性別による制度的な教育の機会の差異もなくなっている」として「削除することが適当」と指摘。代わりに「男女共同参画社会への寄与」を挙げた。

政策目標37項目
   教育振興基本計画
中教審の素案は教育基本法の政策目標を具体化する「教育振興基本計画」について、計画の期間は五年とし、計画期間内に定期的な政策評価を実施。その結果を踏まえ必要に応じて見直すとしている。計画の対象も学術やスポーツ、文化芸術などの分野まで広げている。
 昨年十一月の中間報告では「いじめ、校内暴力の『五年間で半減』を目指す」「授業が分からない子どもの半減を目指し、習熟度別指導など個に応じたきめ細かな指導の推進」など二十三項目の政策目標を挙げた。
 今回の答申の素案では、「産学官連携を推進」や「知的財産の創出、保護、活用等を推進」といった研究開発分野、伝統文化教育や体験学習、生涯学習の分野などで新たに十四項目を加え、計三十七項目を掲げている。
新たに規定する理念
@個人の自己実現と個性`能力、創造性の涵養(かんよう)
A感性、自然や環境とのがかわり
B社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心の涵養
C日本の伝統、文化の尊重、
D郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養
E生涯学習の理念
F時代や社会の変化への対応
G職業生活との関連の明確化
H男女共同参画社会への寄与