神奈川県高等学校教育会館

作文による自己表現活動の指導法の研究

元石川高校作文指導グループ
 松本和平(元石川高校)

◎ 研究の目的
生徒の意欲・関心を高め、豊かな自己表現を養うために、小論文など文章作成をとりあげ、指導のあり方を考えていきたい。そのために、教科の授業をはじめ特別教育活動や「総合的な学習の時間」などを活用し、自らの進路や興味・関心等をふまえた文章による自己表現の指導にとりくみたい。
1 冊子にすることの意味
ともすると生徒にとっては「定期試験が学習の最終目標」となりがちで、試験後にはせっかく覚えた知識が失われていく。知識を確実に定着させていくためには、小論文を冊子にすることなどをとおして、知識を主体的に再構築していく過程が必要である。
冊子はパソコンを使用して編集するため、教科「情報」との連携も必要になる。また、冊子の作成は生徒に自己表現の機会を提供するとともに、次年度の生徒にとっても過去に作成された冊子がよい参考資料となる。冊子によって資料を蓄積していくことは、より質の高い小論文につながるはずで、「卒業研究」のような充実したとりくみに発展させていく基礎になる。
また、冊子の作成は生徒の内面に達成感を形成することができ、自己の小論文を他の人に批評してもらい、さらに深い洞察につながる。

2 インターネット利用の問題点
インターネットを利用した資料の検索は、小論文の入り口として有効である。しかし小論文作成にあたりインターネットだけに頼る傾向がある。独自のオリジナルな調査・研究活動がおこなわれにくい点は、克服すべき大きな課題といえる。テーマの研究を深めるためには、地域の博物館や図書館に加えて、保護者や卒業生など「人材のネットワーク」によるサポートも必要である。

3 教育課程の見直しについて
 2006年は多くの高等学校で「未履修問題」が表面化した。「新教育課程は学力低下を招いた」という図式がつくられつつあり、今後「学力向上」に向けた議論が活発になることが予想される。しかし、高校教育の目的は大学受験だけではなく、「興味ある課題に自から取り組む姿勢を養う」ことの大切さも忘れてはならない。そのための活動のひとつとして、小論文を作成し、自分の考え方を周囲の人に伝える活動が重要である。このような学習活動は、教育課程が改定されても決して変わることのない「教育の基本」と言える。

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