| 神奈川県高等学校教育会館 |
工業高校生向け気象庁ホームページの活用法および ヒートアイランド現象の解明から国公立大学理学部入試を目標とした教材化の取り組み |
| 理科教育研究会(物理部門) 桐原啓真(川崎工業高校) |
ヒートアイランドとは、自然の気候とは異なった都市独特の局地気候で、郊外に比べ都心部ほど気温が高い現象をいう。都市とその郊外地域の等温線の形状が地形図上の島と似ていることより、名づけられた。都市気候が生じる要因は都市の被覆と人間活動にあると言われている。本研究では関東地方全域の気温を二次元的に解析することによって近年、都市気候として問題になっているヒートアイランドの状態の経年変化を調べることにある。データはアメダスおよび気象台・測候所の合計15ヶ所のデータを用いた。 生徒には最初の年に気象庁の15地点の8月の1ヶ月平均データを用い5年ごとに図にした。この図には昼夜を問わず雨の日も曇の日も含まれている。 次の年は気象庁のデータから日中30.0[℃](真夏日)を超え、年最高気温に達した上位5日連続の日(半旬)の夜間(19時から翌日の6時)の気温を切り出し、それを地点ごとに平均して5年ごとの図にした。 図2は天候によらず8月の1ヶ月間の気温を平均したものである。1980年はヒートアイランドがあまり都心部ではっきり現れていないが、1985年は関東地方の中心部で現れてきた。1990年になると東京都心部から神奈川西部を通り三島まで高温域が出現した。1995年は1990年に比べ、東京東部の気温が低くなりヒートアイランド効果が押さえられているようである。しかし神奈川県はさらに高温域が広がっている。2000年では埼玉県東部に高温域が残り、全体的には1995年に比べ高温化が緩和されているように見える。 図3は、図2中に含まれている雨天・曇天などの天候を除き、年最高気温を中心とした晴天日の半旬の夜間の気温を平均化したものである。データの切り出しや加工に膨大な時間を費やしたが、これにより天候不順による影響を避けることができ、ヒートアイランドの状態を鋭敏に表現できると考える。1980年では東京東部に小さなヒートアイランドの中心が存在するが、周囲に比べ1℃ほど高いだけである。1985年ではヒートアイランドが東京都の全域に広がりだし、1990年では埼玉県東部、東京都全域から千葉県の中央部に中心を持つ大きなヒートアイランドが形成され、その強度も強いものになった。1995年ではヒートアイランドの領域が縮小したが、神奈川県西部に高温域が現れているのは謎である。2000年になると全体的に高温域は押さえられているが、2005年では、また高温域が強くなり、その中心は東京都心よりも埼玉県の東側全域になっている。 本研究は化学科3学年の課題研究の時間に行ったものである。課題研究の時間は月曜日の2〜4校時に行われたが、月曜日は振替休日や行事などで授業が行えなくなることが多く、年間で20回ほどであった。その内の2回は実習オリエンテーションおよび化学科内での研究発表会に使われ、正味の取り組み時間は18回、54時間であった。その54時間の中でテーマを決め、インターネットの気象庁ホームページからデータの収集を行い、解析そして発表のための要旨集およびパワーポイントの作成、そして発表練習を行うというハードなものであった。 2年間気象をテーマに選んだ生徒は化学科2クラス約60名中1年目3名、2年目は5人であった。最初の年の2名の内1名は大学進学者であり、残り1名は就職であった。2名とも国公立大学の理学部入試問題の気象分野にも臆することなく取り組んだ。2年目の5人は職業高校ということもあり全員就職組であった。成績はクラスの中位であったが、前年の研究成果も理解し、作業を進めることができた。7人全員インターネットでの検索は意欲的に行い、「気象」における興味・関心の高さがうかがえた。 |
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