神奈川県高等学校教育会館

温泉を題材とする総合学習の基礎研究

環境学習教材開発グループ
 池崎文也(横浜桜陽高校)

 日本人にとって「温泉」は実に身近なものである。特にこの10数年は、国民的広がりとなっている癒し系ブームの一つの柱になっている感がある。もちろん、人々が温泉を訪ねること自体は、肉体的かつ精神的にもプラスの効果を得るための行動であることは周知のことである。本研究は、その身近な温泉を高等学校教育における学習題材として活用できる可能性を探るべく研究を行ったものである。

 例えば、箱根温泉を訪ねるたびに、この著名な温泉地では、地学、生物学的な自然学習、自然環境学習はもちろんのこと、文化・芸術面では美術館、博物館、公園・庭園、歴史旧跡、伝統工芸、文学などの施設・素材が点在している。それらを、観光産業や経済などという人間生活との関わりをも含めて総合的に扱う学習が可能ではないかと考えるようになってきていた。

 平成17年度の基礎研究においては、まず国内の有数な温泉地のうちから、対象地を霧島温泉郷(鹿児島県・宮崎県)、箱根温泉郷(神奈川県)、城崎温泉(兵庫県)、能登輪島温泉(石川県)の4地域として、次のような観点を持って巡検するフィールドワークを実施した。そこでは、単に観光旅行や癒しの空間を求めるという発想ではなく、それぞれの温泉地が生徒の学習題材に成り得るかどうかという視点と、教師の学習指導対象になる可能性を有するかどうかを同時に考察することを目指した。

 それらのフィールドワークの研究成果を一覧表にまとめて、学習対象になり得ると考えられる項目を前述の視点で考察したところでは、自然科学から人文科学にわたる素材の多さからも「温泉」には多岐に渡る学習対象が存在することが認められると共に、高等学校における、それらを対象とする学習の可能性は十分にあると考えることができた。

 そこで今年度の研究では、模式的な温泉学習のフィールドと成り得ることができる箱根地域の調査・研究から学習指導の概案を作成することをめざし、加えて国内の他地域のフィールド調査地として、神戸市内の温泉と別府温泉についてのフィールドワークを実施した。

<研究内容>
1) 学習の模式地としての箱根地域の調査を通して、学習指導の概案を作成する。
2) 学習の模式地(箱根)と比較対照することと、新しい観点からの学習の対象の可能性を検討するために、大都市に存在する温泉の対象地として神戸市の温泉ならびに日本湯数の温泉地の一つである別府温泉を調査・研究する。

<研究結果>
1) 箱根地域のフィールドワークの結果から、学習指導の概案を作成した。
2) 神戸市内の温泉の調査からは、都市域における温泉研究の学習題材の可能性がうかがえた。
3) 別府温泉の調査・研究の結果からは、自然や人文、経済、都市開発、防災、国際交流などの視点から温泉研究の学習題材の可能性が高いことがうかがえた。

<箱根地域の学習指導概案>
 今回の研究から明らかになった箱根温泉に満ちている数多くの素材からは、いろいろな学習のテーマやパターンが考えられるのではないだろうか。ここでは、自然の景観や歴史旧跡を楽しみながら巡検して行き、それらの各所において学習することができる一例を作成した。

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