神奈川県高等学校教育会館

憲法学習:授業実践と教師、市民としての憲法学習

厚木東高校憲法教育研究会
 宮脇隆志(厚木東高校)

 必修「現代社会」(1年2単位)において、憲法に関する授業を行った。昨年度の3年「現代社会」(3単位)にくらべて、授業時数が若干減少した。
 前期は、環境問題を中心に現代的な課題を扱い、青年期にも若干触れる。
 前期の終わりに憲法学習の前段として、大日本帝国憲法の成立、日本近代の戦争、日本国憲法の成立など近・現代史の授業に力を入れた。
 後期は、憲法の平和主義・自衛隊・安保条約の問題を最初に取り上げる。
その後、国民主権と象徴天皇制、基本的人権、平等権、自由権、社会権、参政権、受益権、新しい人権、国民の義務などを扱った。
 しかし、時間数不足のために、憲法の統治機構に関する部分に触れることはできなかった。3年次の選択「政治・経済」で、憲法の統治機構及び経済分野を扱うことになる。

 日本国憲法の授業をとおして、次のようなことを痛感した。
  1. 現代的課題や経済分野を教える前に憲法学習を行う方が、生徒の理解を容易にする。歴史的な流れの中で現代をとらえる、憲法の視点から現代的な課題を見ることができるという点からである。
  2. 日本国憲法の学習には、日本の近代の戦争の歴史を学ぶことが欠かせない。生徒たちの近代史理解はきわめて低い。
  3. 日本国憲法の学習には、ファシズムの歴史的事実を学ぶことが必要である。ナチスによるユダヤ人虐殺の歴史についての理解は低い。それ以上に日本軍によるアジアの人々への加害の認識もきわめて低い。
  4. 憲法とは、そもそも何かということをつかませることが重要である。つまり、憲法は国民の権利宣言書であり、国民の権利を守るために国家権力を縛るものであることをしっかり認識させたい。
  5. 現実に起きている諸問題を扱うと、「憲法があっても意味がない」と否定的にとらえる生徒が多い。現実を憲法の示す理想に近づける努力の重要性を強調したい。
  6. 憲法「改正」など、言葉の表面的な受け止めが多い。
  7. 憲法学習をきちんと行えば、日本国憲法がすぐれた内容であること、幸福追求権など新たな状況に対応できる条項があることなどを理解することができる。
 職員の中で学習会を行うことは残念ながらできなかった。しかし、毎時間の授業の終わりに生徒が書いた「考えたこと」(感想)を、職員室の中で日常的に話題にした。
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