神奈川県高等学校教育会館

自然観察をとりいれた授業実践と研究


自然観察研究会
 山田史子(商工高校)

 「ビオトープ=biotope」と言う言葉はドイツ語の" bio"生物と" tope"空間を示す造語である。環境問題がクローズアップされて久しいが、公園から学校、都会のビルの屋上にまでビオトープが作られるようになった。ドイツで生まれたビオトープは自然の復元がテーマであった。人工的にたとえ小規模であってもそこに動物や植物の生息できる空間があり、人はそれと接する中で失われた自然との共生を感じる効果を期待していると考えられる。

 商工高校では7年前、バレーコート建設予定地とされた遊休地を利用して、B教諭が生物の授業で植物の栽培を取り入れた。その後、学校設定科目に理科総合を設け、2002年から遊休地を「理科実習農場」とし、理科の職員全員で教育活動に利用してきた。生徒とともに「荒地を農地に変える。土を作る。蒔く。育てる。収穫する。食べる。」という作業をするうちに、2003年からビオトープの作成に着手した。少ない予算の中でどう作るか、水源をどうするか(水道水の使用は後に不可)が最大の問題であった。2004年に一応完成し、6月メダカを投入、小さな生態系への始めての動物の出現である。雨水のみを水源としたこの手作りビオトープは3年間、全く水がなくなることなく今日に至っている。

 今研究事業ではまず、「1.水道水を使えない状況の中ですべて雨水のみで維持するための整備。2.無農薬・有機農法で理科実習農場を維持するための研究、条件整備。3.イモリの飼育 4.学校周辺の自然観察フィールドワーク 5.小網代の森への自然観察フィールドワーク」を行った。

 1については畑中央に盛り土し、そこに櫓を組んで廃棄された浴槽を設置。そこに雨水を溜めサイホンの原理を利用して水撒きができるようにした。

 2については校内に1本だけあるクヌギの落ち葉を回収し、自家製の腐葉土づくりを行うほか、化学肥料を使わず、頻繁に除草を行うなど完全無農薬での農作物を数多く、収穫した。また、地力を回復させるため、休耕地・輪作を取り入れた。次年度はコンポストを購入し、堆肥づくりの準備をした。

 3については7月五領ガ台高校から金目川産の親を持つイモリをもらい受け、イモリの飼育にチャレンジした。2月3日に産卵が確認され、20日に稚魚が確認された。

 4については学校周辺の植生を観察するフィールドワークや地層を観察するフィールドワークを実施し、いくつかのルートを開発した。また、クヌギの木のマップを作成し、地形からかつて里山の自然を考える教材の基礎資料を作成した。

 5については神奈川の集水域生態系観察の絶好の場所とされる三浦の小網代の森へのフィールドワークを6月10日に実施した。
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