| 神奈川県高等学校教育会館 |
高校生を対象としたエデュテーメント・ゲームの開発に関する研究 |
| かながわエデュテーメント研究グループ 生地 陽(藤沢工科高校) |
エデュテーメントとは"entertainment"と"education"の合成語である。本研究の目的は「娯楽」の抱える課題と教材の「面白くなさ」の間を埋めるコンテンツの開発であり、高校生の年代を対象としたゲームづくりを試みた。研究構成員間の連絡・協議はメーリングリストを用い効果をあげた。リストの投稿数は180件を超え、その議論をもとに研究会を5回開催した。 今年度は対象を絞る前に幅広く「遊び」やゲームについて学ぶことからはじめた。まず小学校、学童保育、老人福祉の現場の人々の話を聞き、東京都水の科学館を見学するなどして、教育(及び福祉)とゲームとの係わり合いを調査し、さらに「遊び」に関する既存研究の吟味と既存の多様なゲーム(カードゲーム、ボードゲーム、コンピュータゲーム、オンラインゲーム)の試行を行った。ゲームの多くは海外で開発されたものであり、その発想に学ぶものは多かった。また、多人数が同時に参加するオンラインゲームは、全く新しい他者との関わりをもつ「遊び」または「学び」の可能性を感じさせた。 そして、これらを題材に「遊び」とは何か、「ゲームとは何か」という本質的な議論からはじめた有益なディスカッションを行うことができた。コンテンツのテーマとして暫定的に地球環境をとりあげることにし、知識修得に傾斜するこなく、環境に対する倫理や他者との協調という内容や展開を追求することになった。そのためには物語の構造分析などを参考に小説などの表現手法を用いることを検討した。物語の構造分析などを応用した、しっかりした「世界観」を持ち「物語性」をもたせ、環境や人生と言う複雑な事象のゲーム化を可能にしようとの議論が深まった。 一方、老人福祉の専門家は、アメリカで生まれ日本でも人気のある「人生ゲーム」が壮年期の「成功」でゴールを迎えるのに対して、本当の人生とは、その後に家族や心身の健康、社会的役割の喪失が重なり、ゴールは「死」なのであり、多くの人々がその「真の人生」そのものに向き合うことをしていないことを指摘した。この指摘から「人生と向き合うゲーム」を開発できないかという議論が生まれ、それは環境に対する倫理や他者との結びつきを重視する方針と関連しあって、ゲームのコンテンツの題材をふくらませることになった。 ゲームの開発の実践は、環境汚染を「畑」「工場」「森」の建設により生み出される経済的な貨幣(「キャッシュ」)とエコロジカルな貨幣(「どんぐり」)の獲得によって除去してゆくボードゲーム『とどろき山』の改良を小学生、高校生との試行の中から行った。また、オランダの大学教授Mark Overmarsが開発したフリーウエアのコンピュータゲーム開発ツール「Game Maker」を入手し試作品第1作として『もりのおばけちゃん』とノベル系コンピュータゲームの試作品『ヨンヒをさがして』を制作または一部制作した外、構想段階の多くのゲームが生まれた。今後、本年度の成果を生かして、継続的な活動を行いたい。 |
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