神奈川県高等学校教育会館

大学生ボランティア組織の構築に向けた活動



支援教育研究会

  
 大学生ボランティアはさまざまな形で毎年さかんに行われるように一見なってきた。しかしその実態は高校におけるボランティアとかなり似たような実態があるようだ。そうした実態については現在大学のボランティアのなかでもっともさかんに行われている大学である立教大学の吉岡史哉教授の報告(ボランティアだけでなく現在の大学一般の状態をレポートしてもらった)からもうかがえるものである。一言で言えば大学ボランティアも高校に近いということである。高校のボランティアの実態は高校関係者はよく知っていると思うが、教員が敷いたレールに生徒を乗せてあたかも生徒の自主性と言いながら実態は生徒の自主性はほとんでないというものである。こうした現実から高校でボランティアを熱心に行ってきた生徒たちが大学では何もやらないケースが多く見られるのは、中学でボランティア体験を多くした中学生が高校で何もやらない実態と同じ状況を生み出してきた。
 こういう風潮を助長したのが、高校での調査書重視とりわけ前期選抜の調査書における教科外の評価によるボランティア項目であり、大学のAO入試等によるボランティア体験の重視であった。本来無償の行為であるボランティアがそれをやることによる見返りを受け取るというまさに奇妙な構図が学校社会では出来上がりつつある。こういった状態に輪をかけたのが官製ボランティアの好きな神奈川県知事がいる神奈川のボランティアに対しての施策であった。かたちばかりの地域貢献デイ(実際は学校周辺の外掃除)、ほとんど誰も使わないボランティアカード塔等かたちだけつくることで中身がない施策はやらないほうがましでありますます「ボランティア」という言葉をうさんくさいものにしてきました。
 どうせなら東京都のように「奉仕活動」で一括したほうが意味があるだろう。
こうした状況下でも高校生が自主的に教員の指示などなくボランティアを行ってきた活動があった。旧外語短大付属高校ボランティア部の活動であった。この活動に関しては以前の報告に書かせて」もらったのでここでは重複はさけるが実態としてそうゆう活動が行われてきた。ただ旧外語短大付属高校ボランティア部の活動を担ってきた生徒が大学に進学しても個々には活動しているものもいたが多くは他と同じように組織的活動を止めていた。
 昨年来そういった状況を打破するため、たまたま慶応大学湘南キャンパスに進学したOBが自主的に活動を始めた。具体的な活動は、彼らの報告を読んでもらえばいいと思うが、組織的といっても無理はなく、自分たちができる範囲内をおこなったようである。この基金がその一助になったことは間違いない。

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