神奈川県高等学校教育会館

理科教材として銀河系内に存在するダーク・マター量算出の試み



神奈川県立川崎工業高等学校
                           理科教材開発研究会(天体物理部門)

  
 宇宙にある物質の85%が私たちが未だ観測できていない物質「ダーク・マター」だといわれている。宇宙には見えない物質がたくさんあり、その事実を最初に証明したのは1970年代初頭、アンドロメダ銀河を観測していたアメリカの天文学者ヴェラ・ルービンだった。
 アンドロメダ銀河は、渦巻銀河の一つで星が集まり平たい円盤のような形をしている。星は銀河の中心を軸に回転し、星の数は円盤の内側ほど多い。そのため、見えている星が銀河にある全ての物質だとすれば、星が多く集まる銀河の内側ほど星を内側に引っ張る引力が強くなる。強い引力と釣り合うためには強い遠心力が必要で、内側の星ほど回転運動における移動速度(以下、回転速度)は速くなる。
 ところがルービンは星の回転速度が銀河の内側と外側で、ほぼ同じであることを発見した。これを説明するには、星が少ない銀河の外側にもたくさんの物質がなければならない。つまり銀河銀河の内側は星が多く、内側に向かう引力が大きい。反対に、銀河の外側は星が少なく、内側に向かう引力は小さい。引力は回転による遠心力と釣り合うと考えると、大きな遠心力が働く銀河の内側の星は回転速度が速く、外側は遅いと考えられていた。ところが、実際は銀河の内側と外側で星の回転速度に大きな変化はなかった。つまり銀河の外側にも見えない物質が大量にあることを示していた。
 私たちが解析した結果から、銀河系内の見える物質量の積算値とダーク・マター量の積算値を示した図は、4.5kpc付近で、見える物質量とダーク・マター量が逆転して、見える物質量の積算。
 銀河系内のダーク・マターの分布量を解析した図から、目に見える物質量の6倍がダーク・マターであるという結果が得られた。
 ダーク・マター量は可視の物質量の6倍であると求まったが、参考URL33では最新の観測量がやはり6倍、参考URL34でも7倍とあり、今回私達が行った計算も妥当であることがわかった。
 4kpc付近に可視の物質量が集中しているのは、わが銀河系の最新の研究によればその形状が「棒渦巻き銀河」であるといわれており、そのことから銀河の中心に可視の物質量が集中しているのは最新の研究成果と一致するものである。

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