神奈川県高等学校教育会館

「高校生平和大使」派遣の意義と実践研



高校生平和活動研究会

  
今年度の活動は、署名活動と長崎の生徒との交流、国連への派遣の3つの活動が中心であった。

【署名活動について】
 高校生一万人署名活動を桜木町で計20回、藤沢駅前で5回、そのほか集会などでの署名活動を7回ほど行った。合計で4402筆の署名を集めることができ、国連に届けることができた。
 参加した高校生たちは、署名活動をする中で「署名活動などしても意味がない」「核兵器を廃絶などしたら北朝鮮が攻めてきたときにどうするつもりだ」といった言葉を投げかけられることもあったそうである。だが、その中で、自分がやっていることの意味や価値を見つめ直した上で、自分が取り組んでいる活動について、これまで以上に自覚を持って取り組むような姿勢になっているというのが聞き取り調査の結果明らかになった。

【長崎の高校生との交流】
 6月の平和大使の結団式の折に前年度と今年度の神奈川からの高校生平和大使2人が長崎に訪問した。ながさき平和大集会に参加するほか、その会場前での署名活動などを通して、長崎の高校生一万人署名活動実行委員会のメンバーを交流した。
 8月の原水爆禁止世界大会長崎集会では、神奈川からは5人の高校生が長崎を訪問した。このときには、原水禁大会への出席や大会会場での署名活動の他、平和市長会議の傍聴、長崎駅前での署名活動などを行ってきた。
 4月3日の神奈川の活動の報告会には長崎から2人の高校生が横浜に来て交流した。報告会の中でも、長崎での活動について報告をしてもらうとともに、報告会後は和やかな雰囲気で交流会を行った。
これらの活動を通して、長崎の一般の人々の署名に対する反応の違い(ある高校生の言葉では「横浜ではたまに署名してくれる人がいるという感じだけれど、長崎では急いでいてできないとか以前にもう署名をしたという人以外はみんな署名してくれる感じがする。」という感想が聞かれた)が印象的であったようである。しかし、これも、神奈川でも長崎のように署名がとれるくらい知名度を上げたい、といった前向きの姿勢が聞かれた。また、署名活動への高校生たちの積極性や活動する高校生の数の多さも印象的であったという声が聞かれた。

【国連への派遣】
 高校生一万人署名活動で集めた「核兵器の廃絶と平和な世界の実現をめざす」署名は、高校生平和大使たちによって、スイス、ジュネーブにある国連軍縮本部に、毎年、提出されている。
 今年度の88,000筆を超える署名を提出したことにより、これまでで国連に提出した署名は50万筆を超えた。また、今年は、国連軍縮会議場へ行くときに通る廊下のところに、ガラスで昨年提出した署名が見えるようにした棚にしまわれており、高校生たちの取り組みに対し、国連軍縮本部の対応がとても丁重であると実感できた。そのほかに、グローバルユニオンやYWCAへの訪問やアンネフランクの家の見学、イーペル市で行われているラストポストへの参加など国連訪問以外にも、様々な交流を行い、有意義な旅ができた。
 このたびを経験したものは、国連での丁重な対応などから高校生平和大使が特別な待遇を受けていると言うことを改めて実感したようであるし、その期待に応えたい、また、もっと勉強が必要であるといった感想が聞かれた。

【高校生たちは署名活動などを通じて自信の変化を実感している】
 高校生たちはこれらの活動を通じて、より主体的に平和への取り組みを行うようになった。また、自分がやっていることの意味や価値を見つめ直した上で、自分が取り組んでいる活動について、これまで以上に自覚を持って取り組むような姿勢になっている。この活動がひろまることで平和への活動がひろまるというだけでなく、高校生が成長していく大きなきっかけとしてぜひ多くの高校生に体験してほしい活動であるという思いを深くした。

 質問項目の設定が難しく、人数的にもそれほど多くないため、調査データとして提示することができなかった。数値的なデータ化はかなり難しいと感じた。




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