神奈川県高等学校教育会館

かながわの総合学科高校生と那珂川町の人/文化/自然をつなげるプロジェクト



緑育研究会

  
  1. はじめに
     近年、都市部では緑化のために様々な取り組みが積極的に行われている。また同様に緑に親しむためのプログラムが学校教育を含め様々な場面で行われている。一方緑が豊かである農村部(里山)は様々な困難を更に抱えている。本報告は2つの異なる地域に生きる高校生が、交流から何を感じどう関係を形成するのか、またそれは農村部(里山)の活性化につながるか、を県内の総合学科高校の夏季連携講座のひとつとして実施した報告である。なお実施に当たって日本大学生物資源科学部植物資源科学科緑地・造園学研究室、栃木県那珂川町・那珂川町教育委員会、栃木県立馬頭高等学校、及び那珂川町の皆さんにはたいへんお世話になった。改めてお礼を申し上げる。
  2. 研究の取り組み方法
     緑育研究会が那珂川町・教育委員会及び馬頭高校と事前打合せを行い、講座の概要を決定する。町側の窓口は生涯学習課と農林振興課である。実際の取り組みでは緑地・造園学研究室の学生スタッフが事前学習の実施、現地ではワークショップの実施や高校生のフォロー、等の裏方的役割を一手に引き受けてくれた。
  3. 夏季連携講座としての実施
     参加生徒の募集は馬頭高校においては生徒会スタッフや水産科の生徒を中心に、また神奈川県では総合学科教育研究会が主催する夏季連携講座で「農村体験と交流U」講座として募集した。定員はホームステイの関係で14名とし、大師高校3名、横浜清陵総合高校4名、金沢総合高校7名、となった。講座の日程・内容は末尾に掲載しておいた。
  4. 高校生の感想
    ●Aくん
    もうーみんな大好きーー!
    本当に本当に最高の4日間だったな!忘れられない思い出だ!
    最初はみんな馴染めず、暗かったな。笑
    自分はこのままじゃ駄目だと思ってさ、みんなに話しかけたんだよ!
    人見知りってのもあるし、一里しょうがないとは思ったけど、
    やっぱり最初から話さないと思ってね!笑
    それから栃木県(馬頭)に!
    川遊び楽しかった!
    トラフグ可愛かった!
    鮎飯。味うすかった!笑
    高瀬のやな、いいとこだった!
    ホームステイ先の飯、最高だった!
    間伐、激アツだった!笑
    林業の方々、カッコよかった!
    本当にいっぱいの思い出ができたな!
    5日の夜、和見小にて、
    みんながひとつになったとき、
    自分はすげえ嬉しかったな!
    みんないい顔してたよ!笑
    このことで内心悩んでたんだよね!笑
    最終日・・・、
    みんなとバイバイしたくなかったな。泣
    色んな色んな思いがあふれ、涙した。
    本当に感謝しきれないほど、感謝します!
    那珂川町のみなさん、馬頭高校のみなさん、
    どうか、○○高校、○○を忘れないでください!

    ● Bくん
    この3泊4日は自分の中ではあっという間でした。那珂川町に着いたとき凄い田舎でこんなところで4日間過ごすのは嫌でした。だけど色んな人との交流や、様々な体験があってそれは勘違いだとすぐに気づきました。
    とにかく感動したのが自然と生き物の多さでした。今まで横浜で生活してきたけど、那珂川町のような環境は初めてでいるだけで楽しい環境がありました。間伐では生まれて初めて木を切りました。以外に簡単に切れることにびっくりしましたが、間伐した後にしっかりと太陽の光が入ってきていることが森には重要な働きをもたらしていると強く感じました。
    次にやった体験では馬頭高校の水産科実習場で魚の見学をしたり、簗という川に設置している罠や養殖されているトラフグを見たりしました。どれも初めてのことばかりで神奈川にはない凄さに圧倒されました。この中で一番印象に残っているのは簗で1分に一匹以上はひっかかっていて印象に残りました。その後の川遊びは4日間で一番楽しかったことで
    川に入って遊ぶことなんか神奈川では考えられなく楽しく遊ぶことができました。
    上から飛び降りてみたり、流れの強いところで流されてみたりと今でにない最高の思い出になりました。
    次の日はみんなで和見小をどう使っていくか話し合いました。このときたくさんの人と交流できたのがとても嬉しかったです。
    そして午後は地元の食材で作るレシピをみんなで考えました。アユバーガーをみんなで考えましたが絶対にうまくいかないと心の中では思っていました。しかし食べてみるととてもおいしく最高の思い出になりました。
    自由時間にみんなでやった野球は最高に楽しく一気に距離が縮んだ気がしました。
    この4日間は自分の一生の思い出になったと思います。人との交流の大切さや自然の雄大さを知ることができて一回り大きな人間なれた気がします。来年は大学生で参加できないのが悔しいですがこの体験を十分に活かしていきたいです。

    ● Cくん
    間伐ではチェーンソーで木を切らせてもらったし、ヒノキの輪切りのお土産も貰った。それからホームステイ先に行った。ホームステイ先では、トウモロコシやきのこご飯などおいしいご飯を食べさせてもらった。さらに最後には梅干のお土産も貰った。
    2日目は一番期待していた川遊びがあった。自分は結構泳ぎには自信があったけど川の流れが速いとこにいくと、全く進まなかった。川遊びでは、そこそこ高い岩から飛び込んだ。
    3日目ホームステイも終わり、和見小に泊まった。和見小まではみんなで 〜すくすくの森〜 を歩いて行った。そこで一緒の班になった馬頭生の○○先輩と仲良くなった。途中休憩したところでは○○先輩と喋った。和見小に着いてからは、ワークショップをしたりいろいろやった。自由時間にはみんなで野球をした。かなり楽しかった。今日の夜ご飯はお弁当で隣で一緒に食べた、○○くんと2個目の弁当を分け合って食べた。そこからいろいろと喋るようになり夕方は一緒にゲームをした。夜はみんな3時ぐらいまで起きていていろんなことを語った。3日間の中で1番楽しかった。○○先輩の、来年どうしたら神奈川県から女子がこの講座に参加してくれるのかなどを語って本当に楽しかった。
    4日目 最終日 みんなで昨日ワークショップで考えたメニューを作って食べた。
    この4日で自分はなんとなく変われたと思う。本当に楽しくずっと栃木に居たいぐらい楽しかった。来年もこの講座に参加したいと思った。みんな本当にやさしくていい先輩で来年も一緒に行きたいなと思った。
  5. 成果と課題
     緑育の視点から考えると、高校生の感想にあるとおり成果は充分見られたようである。緑育だけでなく、他者との濃厚なふれあいからキャリア教育の視点でも成果が見られた。
     今後については、来年度の継続は決定しているので、更にバージョンアップをして当初の目的を上げることができるように進化させたい。
     支援をいただいた高校教育会館には感謝申し上げると共に更なる支援をお願いする次第である。
 

  
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