神奈川県高等学校教育会館

合同演劇ワークショップ



ワークショップ表現教育研究会
 
 ワークショップ表現教育研究会は、県教委「県立高校教育力向上推進事業・教育課程研究指定校・言語活動充実(芸術・演劇における実践)」の指定校である麻生総合高校・横浜桜陽高校の2校で構成する。両校は、従前より、演劇手法の教育への導入について、校内での研究実践を深めてきている。同時に、学校の枠組みを超えたとりくみを通して演劇手法を用いたコミュニケーション教育および演劇芸術教育の浸透深化を図ることを目的として、県内各校に呼びかけての合同ワークショップにとりくんでいる。
 経費面での課題が大きく、県教委指定とともに高校教育会館教育研究助成を賜っている。
 本年度は、高校教育会館教育研究助成・県教委指定とともに神奈川県高等学校演劇連盟(県高文連演劇専門部)の共催を得た合同ワークショップが実現し、また神奈川県高等学校演劇連盟生徒実行委員会の観劇=劇評ワークショップの素材劇上演に取り組んだ。
 2010年12月18日(土)に、県立麻生総合高等学校スタディホールを小劇場とし、生徒ラウンジを講評討論会場として開催した。麻生総合高校の生徒は演劇部1年生を中心に15名が参加し、県高演連生徒実行委員約50名が参加した。素材劇は、スタディホールが白い壁の明るい部屋であることを活用した、病院の診察室を舞台とする芝居を3本上演し、講評することを練習するための素材とした。講評ワークショップは、相模原青陵高校の中山周治先生がコーディネータ−となり、光陵高校の古谷泰三先生と相原高校の原山紀夫先生が指導され、芝居には様々な見方があるということを生徒たちは実感できた。
 2011年1月15日(土)に、川崎市麻生市民館大ホール(小田急線新百合ヶ丘駅)において合同ワークショップを開催し、両校のとりくみとしては過去最大の参加者数を得た。県内各地より17校約90名の生徒が、うち麻生総合高校からは「演劇基礎」選択者を含んだ25名が、横浜桜陽高校からは「演劇体験」選択者を含んだ9名が参加をした。
 合同ワークショップのワークショップリーダーは、劇団五反田団主宰の前田司郎氏にお願いをした。前田司郎氏は劇作家・脚本家・演出家・俳優・小説家とマルチな活動をしている新進気鋭の表現者である。2007年の小説『グレート生活アドベンチャー』での第137回芥川龍之介賞候補、2008年の戯曲『生きてるものはいないのか』での第52回岸田國士戯曲賞受賞、また、2011年のNHKドラマ『迷子』(脚本)が記憶に新しい。
 前田氏は一人で約90名の生徒の相手をし、午前は、参加者全員による横断歩道の渡り方や、電車内・観覧車内のリアルな人間関係の見せ方などのエチュードを主体としたワークショップを、午後はジブリ映画のワンシーンやかぐや姫をテキストとしたステージングのエクササイズを展開した。参加者は、これらを通して、自然な人間関係の形成、言語とともにニュアンスや非言語によるコミュニケーション、観る人(第三者)の共感を得られる表現など、コミュニケーション能力に重要な要素を学ぶことができた。これは、演劇手法の活用によって始めて体感できる領域と考える。 

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