神奈川県高等学校教育会館

韓国語入門学習者に提示する語彙、文法の研究
…韓国語と日本語を対照しつつ、効果的な教材、授業をめざして


韓国語教科書教材開発研究会

  1. 研究目的および研究経過
    (1)研究の目的
     韓国語と日本語とはよく似ているといわれる。しかし似ていながらも、実はことなる点がおおい。
    この点に着目しつつ、現在まで研究構成員が使用してきた『高校生のための韓国朝鮮語 新・好きやねんハングルT』(高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク西ブロック、白帝社)等教科書※1を検討俎上に、学習内容のうち、学習者がおかしやすい語彙、文法項目等について問題点等を整理し、学習効果のある教材、授業をつくることを目的とした。
     ※1 英語以外の外国語には文部科学省検定済みの教科書が存在しない。ここでは便宜的に「教科書」とよぶ。
    (2)研究経過
     本研究では、生徒の実態により即したわかりやすい教科書、教材の開発、作成をめざし、学習者にとってより身近なものとはなにか、理解しやすいものとはなにかという視点にたち討議検討をかさねた。
     研究構成員2名の勤務校での授業実践を土台にしつつ、母語話者でもある韓国語学専攻の大学院博士課程の研究構成員1名もまじえ、10回をこす研究会において、授業内容および授業プリントの検討を行ったほか、メールを通してのやりとり等をもとに完成したのが、別添研究成果である教科書、および論文である。

  2. 特徴と課題
     研究成果である教科書『はじまりはアンニョンハセヨ 増補改訂版』の特徴は以下のとおりである。なお、教材作成とあわせ、検討過程のなかで提出された問題点等を論文「韓国語入門学習者に提示する語彙、文法の研究…韓国語と日本語を対照しつつ、効果的な教材・授業をめざして」としてまとめた。

    その1。実際に行った授業をもとにしたものである。
    その2。会話例はなるべく短くし、パンマル(ためぐちことば)も導入した。
    その3。ハングルの音をカタカナ転写してそえた。
    その4。「会話編」をさきにし、「文字と発音編」をあとにおいた。耳と口で会話練習により韓国語に習熟しながら、文字習得をあわせてめざすというねらいからである。
    その5。文化理解を深められるようなねらいから、ワークシート、コラムを充実した。
     
     効果的な韓国語教育をめざした研究、および研究成果でありながらもいくつか課題がある。
     教科書にはCDをつけていないので、授業の場で生徒に韓国語音声を提示できず、韓国語母語話者ではない研究構成員にはつかいづらいものとなった。
     第二に論文でも多く指摘したが、音声、語彙、文法等において、外国語教育としての韓国語教育においてとりあつかうべき課題は入門初級段階から上級段階にまでなおおおい。このことをかんがえると、今後、日韓両言語対照研究の方法をつかいつつも、韓国語教育は日韓両言語が似ているということを前提ににくみたてるのではなく、ことなることを前提にくみたてなおさなければならないであろう。

 
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