神奈川県高等学校教育会館

栃木県那珂川町での農村体験と交流



「緑育」研究会

  
 2011年度の概要を報告する。本研究の目的は「今年度は廃校跡地に建設されている緑の交流館に地元の馬頭高校と神奈川の総合学科高校生が2泊し、前年度以上の交流と体験を図る。また前年度の参加高校生にも引き続き参加してもらい、交流の質を深めて、都市部と農村部の顔の見える関係づくりに努めることを目的とする」であった。
 また概要としては「栃木県那珂川町をフィールドとして、県内の総合学科高校生約12名が2泊3日の滞在を通して那珂川町の人たちと交流する」を計画していた。
 結果から言うとこの当初の目的や概要は達成されたと思われる。

 2011年8月2日(火)〜4日(木)に県内の総合学科高校で学ぶ11名が那珂川町に滞在した。那珂川町大那地にある「緑の交流館」(廃校跡地を利用した宿泊施設)に栃木県立馬頭高校16名と2泊3日宿泊した。スタッフとして日本大学植物資源科学科緑地・造園研究室に所属する大学生・大学院生6名が加わった。
 プログラムとしては初日の町有林での間伐体験、地元食材を使ったバーベキュー、高校生交流time、2日目の馬頭高校水産実習場・高瀬の簗の見学、地元食材(鮎)を使った鮎飯作り、川遊び、記念オブジェ制作準備、3日目の記念オブジェ制作、と盛りだくさんであった。
 共に食べ泊まり作業をする中から、交流は予想以上にスムーズに行った。現在の若者らしく携帯のメールアドレス交換から始まり、地域の違い、進路のことなど高校生たちはいろいろと2泊の中で語り合った。帰路のバスが出発する時、手を振って見送ってくれたりバイクで後を追いかけたり、名残惜しむことしきりであった。
 またぜひまた会いたいということから冬季休業期間中には神奈川から3名の高校生が再び栃木県を訪れ馬頭高校の生徒4名と再会し旧交を温めている。このことは夏季休業中の交流・体験が一過性のものではなく、継続的な交流・体験につながることを示唆している。以下は参加者の感想からの抜粋である。

まず栃木に行った初日、初めて会う人と去年会ったことのある人がいたけど、今年も那珂川町に来たのだと思って懐かしかったです。空気が那珂川町の空気だなーという気がしました。中でもA君、B君、Cさん、D先生、Eさんに会うのが久しぶりだったので少し感動というか1年って短いと感じました!特にB君が妙に大きくなっていて驚きました。その日の夜レクをやって、みんなどんどん自分のことを話していて、ここのあたりからみんなの距離が縮まっていった気がします!そのあと花火をしたけど、花火はちょっと量が少なくて足りなかった気がしました。そこがかなり心残りです。 
 
 彼は昨年も参加した生徒である。ここから伺えるのは彼が「旅人」ではなく「奇遇者」として那珂川町やそこにいる人たちと関わろうとする姿勢が見られる。この感想からも所期の目的は達成されたといえるのではないだろうか。
 レイチェル・カーソンは遺著となった「センス・オブ・ワンダー」の中で、子どもたちが生まれ備わったセンス・オブ・ワンダーを発露するためには最低でもひとりの大人が側にいてあげる必要があると記述している。私たち大人の役割もそのへんにありそうだ。
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