神奈川県高等学校教育会館

合同ワークショップ



ワークショップ表現教育研究会
 
 ワークショップ表現教育研究会は、県教委「県立高校教育力向上推進事業・教育課程研究指定校・言語活動充実(芸術・演劇における実践)」の指定校である麻生総合高校・横浜桜陽高校の2校で構成する。両校は、従前より、演劇手法の教育への導入について、校内での研究実践を深めてきている。同時に、学校の枠組みを超えたとりくみを通して演劇手法を用いたコミュニケーション教育および演劇芸術教育の浸透深化を図ることを目的として、県内各校に呼びかけての合同ワークショップにとりくんでいる。
 経費面での課題が大きく、県教委指定とともに高校教育会館教育研究助成を賜っている。
 また、昨年度に引き続き、本年度も、高校教育会館教育研究助成・県教委指定とともに県高等学校演劇連盟(県高文連演劇専門部)の共催を得た。
 2012年1月14日(土)に、鎌倉芸術館(JR大船駅)において開催をし、県高等学校演劇連盟共催によって参加者が急増した昨年度(17校約90名)を上回る動員数を得た。県内各地より17校108名の生徒が、うち麻生総合高校からは「演劇基礎」選択者を含んだ24名が、横浜桜陽高校からは「演劇体験」選択者を含んだ21名が参加をした。参加校は3校の私立高、1校の横浜市立高を含む。「公開授業」の位置づけとし、20名の引率(見学)教職員を得、10名ほどの方がワークショップにも参加した。大阪府教育センターから、教職員研修プログラム構築の参考のために、3名の見学者を迎えた。(人数は申込時の数)
 ワークショップリーダーは、演出家中野成樹氏にお願いをした。中野氏は、演劇ユニット「中野成樹+フランケンズ」(ナカフラ)を主宰するとともに、有明教育芸術短期大学芸術教養学科演劇コースで講師として教鞭を執る。ナカフラは、翻訳劇を専門にとりあげ、誤意訳(誤訳+意訳)という手法で、海外古典戯曲を現代演劇へと仕立て直すことを活動の主軸にしている。合同ワークショップの直近では、2011年12月23日〜27日に、川崎アートセンターで、『ゆめみたい(2LP)』を上演している。これは、シェイクスピア『ハムレット』を、2枚組LPレコードになぞらえて90分間の構成に仕立てた作品である。合同ワークショップのアシスタントとして、劇団員とともに、横浜桜陽高校卒業生を含む短大生も参加をした。
 合同ワークショップは、鎌倉芸術館のホール(ステージ)以外の空間、リハーサル室・スタジオ・会議室を会場として、参加者を3つのグループに分けて、3カ所を巡る展開をした。午前中は、全員がリハーサル室で、歩くエクササイズや任意に配布されたカードを使ったゲームを通して、コミュニケーションを深めた。午後に、それぞれにテーマを設けた3つの空間を巡る展開となった。リハ−サル室では、俳優田中佑弥氏をリーダーに、「歩く」「拍手回し」「ブラインドウォーク」「椅子取りゲーム」などのシアターゲームをおこなった。スタジオでは、中野成樹氏によって、「演劇をやって何が楽しいか楽しくないか」のレクチャーと、「物語トレーニング」というクイズ形式の教材によるコンストラクションの学習をおこなった。会議室では、俳優洪雄大氏をリーダーに、3人ほどのグループで、シェイクスピアの台詞から採集した単語から即興で10秒の芝居を創るグループワークをおこなった。それぞれのワークショップの楽しさとともに、劇場の裏側を彷徨うかのような愉しさも体験した。


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