特集 : シンポジウム  どうつくるか 「総合的な学習の時間」
 
 さまざまな実践例

 小学校はお手のものという形で、 子どもたちの活動がいろんなところで発表されています。 高校は実施年が 1 年遅いですから少しゆったりスタートという雰囲気です。
 次に第三点目ですが、 全国のいろんな実践例を見てみますと、 幾つかのパターンの 「総合的な学習の時間」 があります。
 例えば、 地域の特性を生かしたものとか、 現代的な課題を解決するものとか、 あるいは個人研究をまっしぐらにやるとか、 専門学科による課題研究を発展させたものがかなりあります。
 富山県の例では、 ロシアとの交流があるなどの地域や学校の特色を生かして、 ロシアからの使節団を受け入れ、 ディスカッションをやったり交流会をやったりする。 そういう中で異文化体験コースとか異文化を知るというコースを作って国際理解を行う。 そういったオーソドックスな形の実践事例もあります。
 鹿児島県では 「屋久島を考える」 と書いて"屋久島考"という時間帯を設けています。 屋久島というのは海に囲まれていて一つの小宇宙ですから、 小宇宙社会の中でこの社会全体を知るために、 1 年から 3 年までの間に自然環境や社会環境の環境問題、 屋久島の歴史など、 いろんな側面で自分たちの存在基盤である屋久島を理解するという実践もあります。
 また、 個人研究ということで、 ひとり 1 テーマを設けて研究を行う。 自分の課題をあげ、 テーマを設けて研究を進める。 先生方の支援によって、 それぞれ卒業時までに自分の研究を報告書にまとめるという形の実践があります。
 次に現代的な課題を取りあげるものがあります。 例えば、 環境問題。 私は広島県出身ですから、 中国地方のものを少しお話ししますと、 島根県の実践だったと思うんですけれども、 「総合的な学習の時間」 が始まる前から理科の研究をずっと続けていた学校の例です。 その学校では空気中の硫黄酸化物の濃度を毎年何月何日という形でずっと観測していました。
 5 年間観測した結果を見ると、 2 月が一番硫黄酸化物の濃度が高いというデータを手にしていたらしいんです。 それを見て、 何故、 年間を通して 2 月なのかということが課題となったんです。 そして、 それを追究していく。 追究結果だけを申しますと、 2 月は上海など中国の海岸部にある街で暖を取るのに石炭を燃やす。 その石炭を燃やした煙が偏西風に乗って中国地方に来るということが分かったのです。 中国の生活や産業などの学習を理科の知識をまとめながら考えているのです。
 また、 環境問題については、 三重県の例もあります。 課題研究に近いものですが、 三重県の海岸線には 5 つの湖がある。 この 5 つの湖にカモが飛来してくるのだけれども、 たくさん飛来する湖とほとんど飛来してこない湖がある。 そこで、 何故だろうかということで課題を設定して追究していった実践です。
 何がカモのエサになるのかとか、 エサ場がどこにあるかとか、 あるいは寝床はどこなのかとか、 いろんな疑問について、 海岸にテントを張りながら、 カモの飛行方向などを調査して、 自分たちの報告書を仕上げた例です。 結論はちょっと聞き漏らしたんですが、 「人間の経済活動が与える影響としてカモの飛来地が変わってきている。 その結果、 たくさん来るところと少なく来るところがある」 というような研究結果ではなかったかと思います。
 そういった地域の特色を生かしたり、 自分たちが持っているデータの中で関心のある部分を課題として取り上げたり、 自分たちが持っている考え方とは違う結果が出てくるとそれを課題としながら取り上げたり、 あるいは職業体験を通して自分の生き方を考えたりしたさまざまな実践例があります。
 そういったものが、 今、 徐々に高等学校の 「総合的な学習の時間」 として広まりつつあるという段階にあります。 こうしたものを事例集として、 今私がおります国立教育政策研究所のほうでまとめようとしております。 発表の機会がございますので、 是非、 見ていただければと思っております。
佐 藤: ありがとうございました。 全体としては高校の実態が進んでいない中ではあるけれど、 そういった実例も生まれてきているということだと思います。 では、 続きまして、 久世さんに、 現場で取り組んでいる中での話等を含めてお願いします。

   赤 信 号

久 世: 現場代表ということでここに座っておりますが、 現場代表というと、 大体すごい実践があるところが来るんですけれど、 私はそうではありません。 私がここに座っておりますのは、 実は教育研究所の方に呑み屋でスカウトされまして、 「こういうのがあるんだけど、 どう」 と言われて軽い気持ちで引き受けました。 エライことになりました。 代表と言うよりは、 サンプリングと思っていただいたほうがいいかなと思っております。 研究所ニュース 「ねざす」 のほうには 「実際に試行している高校から」 と書いてありますが、 実は試行はしておりませんで、 やっているのは"検討"です。 試行らしいことをやったのは 「総合学習」 のシミュレーションを家庭科の授業でやったぐらいです。
 それを保護者とか学区内の小中高に公開するという形でやりました。 各教科の図書室の利用率が上がったぐらいの影響を与えておりますが、 学校全体がそれほど盛り上がっているというわけではありません。
 神高教のほうで 「新教育課程編成の進捗状況調査・第 1 次」 というのを10月 2 日に出しておりますけれど、 『総合学習』 のところを見ますと、 時間割にどう位置づけるか、 何年次からどのような配分で配当するかという質問に対する回答率は80%くらいあるんです。 中身に関するもの、 学習母体・課題をどのように作る予定なのかは40%くらいの回答率しかないんです。
 さらにニュース 「ねざす」 で大杉先生も指摘されていますが、 評価方法に関してどのように検討しているか、 という問いに対する回答率は54%、 そのうち未定という回答が73%です。
 つまり"時間割にどう位置づけるか"というのを 8 割方は決めているわけですけれども、 中身を考えているところはあまりないという状況だと思います。 長尾先生が言われるとおり、"赤信号"だと思います。
 そういう意味では、 私の勤めている岡津高校は一般的でよきサンプルではないかと思います。
 去年から動きを始めましたが、 どんなことをやってきたかということと、 その中で今どんなことが問題になっているかということを報告として述べます。 管理職がイライラする亀のようなペースで進んでおります。

  実践例の整理

 動き始めたのは去年の 6月からです。 新聞を読んだり本を読んだりすると、 実践例がもの凄くあるんですね。 あるんですが、 逆にありすぎて、 「総合学習」 が何だか分からないというふうに感じました。 担当はカリキュラム編成会議の中の 2 人なんですが、 2 人でひたすら本を読みました。 その中から、 「総合学習」 とは一体何なんだということを抜き書きして、 これはこういうものだという理念設定から始めました。
 テーマと目的と方法というのをまとめまして、 「総合学習」 のテーマというのは、 「生徒を取り巻く生活の現実の中にあって、 彼らが興味関心を持つもの」 だということ。 方法は@領域としての 1 科目、 時間割内の 1 時間で完結するものではなく、 教科学習はもちろんのこと、 HR活動や学校行事などの教育活動のすべてを横断・総合するもの、 Aその中心的な視点となることを目指すもの、 Bさらに教員と生徒の共同作業であるべきもの、 Cテーマを社会的、 世界的に拡大発展させる方向性を持つべきものというふうにまとめました。
 目的としては 「生徒の社会的な人格としての自立を目的とするべきもの」 であるとまとめました。
 これだけだと何をやっていいのか分かりませんので、 また、 いろんな本を読んで、 実践例を整理いたしました。 3 つくらいにパターンを分けまして、 @はじめにテーマがあって、 そのテーマに基づいてはじめから 「総合学習」 として学習や授業を構成して、 教科の授業に降りていく方法、 A教科学習から始めて、 その学習内容に関連して同時に学んでいくことが望ましいと思える他教科・他領域の内容を発展的にどんどん学び進めていく方法、 B 「総合学習」 という教科を設定してその中で展開する方法、 と 3 つにまとめて、 教職員に撒いて、 安心して、 半年間何もしませんでした。 (笑い)
 次に動いたのが10月です。 ぼちぼちやらなきゃいかんというので、 校内研修会を組みまして、 講師を私がやりました。 すべて自前でやっています。 自学自習という形で集まって、 まとめたものの話をして、 ちょっと討議をするというようなことをやりました。 それで安心してしまいまして、 また 2 月まで動きませんでした。

  シミュレーション授業

 そろそろ焦ってきまして、 2 月にまず、 うちの生徒はどんな連中なんだということが分からないんではしょうがないだろうということで、 「岡津高校の生徒像」 を新カリから考えるというアンケートを全教職員から取りました。
 生活面、 学習面、 教科外活動、 その他という項目を立てて、 うちの生徒は大体こんな奴らだろうというのを次のようにまとめました。
  「生徒の進路希望が進学一辺倒ではない分、 面白いものには飛びつける雰囲気がある。 中学においては中堅層に位置し、 比較的目立たない存在であった彼らを心身ともにいかに動かすかは教員の腕にかかっている。 教員、 生徒ともにキーワードは"動く"である」 と。 しかし学校はあまり動きませんで、 委員会のほうで動かなければしょうがないだろうと考えました。
 担任と家庭科の先生がシミュレーションをやってみようと、 「総合学習」 の要素を取り入れた教科学習として、 「あなたに赤ちゃんができた、 そのときあなたは?」 という課題を 2 年生全員を対象に各クラス13時間ぐらいかけてやりました。
 そのときのやり方ですが、 課題に沿った個人テーマを設定させ、 必要に応じてグループを形成させて、 調査・発表をさせるという方法をとりました。
 クラスの中で発表するだけでは能がありませんので、 1 年生を呼んできて 1 年生に分かるように発表するという形にしました。 生徒はいろいろ調べるわけですが、 図書室の中だけではしょうがありませんので、 "赤ちゃんができたら、 どうする"という話、 赤ちゃんと言ったって、 今じゃありませんよ。 (笑い) 将来のことですけど、 それをいろんな人から聞かなければならないので、 病院に行ったり中学校に行ったり幼稚園に行ったり保育園に行ったり、 ということを彼らが自らやりました。
 中には自分でアンケート用紙を作って、 住んでいる団地の中を全部まわって、 アンケート結果をまとめてきたような子もおりました。
 発表のとき、 折角だから親御さんも呼ぼうかというんで、 保護者の方に案内状を出して、 来ていただいたりしました。 学区内の小中高の方に案内を出したんですが、 あまり来なかったですね、 中学校の方が少し来られたんですが。
 シミュレーション授業を終えてから、 6 月からやってきたことを総括しました。 2001年 5 月に全部を総括して、 方針を出すということ (お陰でゴールデンウィークは全部潰れましたが) をやりました。
 総括した中身を職員会議に出すと同時に、 2001年度から学校評議員のモデル校になりましたので、 7 月に評議員のほうにも報告しました。
評議員の中に地元の町内会の会長さんがいらっしゃいまして、 この人がえらく乗ってくれました。 地域の学校のためなら協力を惜しまないとまで言っていただきましたので、 この辺から地域というのをちょっと意識するようになりました。
 その方針ですけれども、 まず 「総合学習」 をどうやるかということに関して 2 つ決めました。 ひとつは 「階梯性を持とう」 ということ。 先ほどの大杉先生のお話にも、 カリキュラムに位置づけることの意味ということがありましたけれど、 高校の 1 年から 2 年、 2 年から 3 年とやる中で、 同じことを反復してもしょうがないし、 また、 3 年生・3 単位でお仕舞いというのもあまり意味がないと思うので、 階梯性を持ってやっていく。 そのために105時間を各学年 1 単位時間ずつ時間割の中に入れるということにしました。
しかし、 実際やってみれば、 週 1 回 1 時間、 50分でできるわけはありませんので、 時間配分については柔軟な対応が必要かなと考えております。
 もうひとつは、 教員の得意なものをバラバラッと出して、 好きなものを選べというやり方は、 教科学習の総合化という点からはあまり意味がないだろうと思い、 何かテーマがなければいけない。 テーマと言っても方向性と言うか大きなテーマですが、 それを決めるということをしました。
 先ほどの家庭科のシミュレーションの中などから考えまして、 大テーマのひとつは 「自己認識」。 自分が一体何なんだを考えるということは他人が何なんだということを考えるということとイコールですけれども、 それをやる。
 もうひとつは 「生活認識」。 自分の生活というのは一体どういう状況から成り立っているのかということを認識する。 そしてそれを踏まえて、 今ひとつの大テーマは、 卒業後の将来の生活手段を含めての進路学習です。 広い意味での 「進路学習」 とそれと関連した 「社会認識」 というようなことをテーマにしようと考えました。
 それから、 やはり発表するということを入れなければ面白くないと考えました。 すると、 「表現する」 ということも入ってきます。 そこで、 サブテーマとして 「表現」 というものを考えました。
 この 3 つ、 スリーステップですけれども、 これを 1 年、 2 年、 3 年というふうに各学年に持っていくのか 、 それとも 1 年間で 3 つをやって 1 年、 2 年、 3 年とだんだん深めていくのか、 どういうやり方をしていくのかというのはまだ考えている最中です。
 何をやるかを決めても活動方針を決めなければ動けませんので、 これも決めました。 全部で 4 つで、 1 つはカリキュラム編成委員会の連絡機関として教科代表者会議というのがあるんですが、 そこで授業改革を呼びかける。 それぞれの教科学習でも 「総合学習」 的なやり方を考えてみるということを呼びかけてみました。 あまり乗ってこなかったんですが、 少しは実践があります。

  生徒による授業

 私は国語で 『古典U』 という授業を持っているんですけれど、 国語の先生はご存じでしょうが、 これ、 あまり生徒が取らないんですね。 大体、 3 年の選択科目に置いてあって、 『古典T』 をやらないと取れない形になっていますから、 今年の受講者は 6 人しかいません。
 初め、 6 人の前で普通の授業をやったんですが、 こんな苦しいことはない。 古典、 文法などやっていると向こうも苦しい、 こっちも苦しいので、 授業をやるのを止めまして、 生徒に授業をやれということにしました。 図書室に連れて行って、 それぞれテーマを古事記でも万葉集でも何でもいいからテーマを決めて、 それを文学史と文法と読解からアプローチするということをやらせました。 読解と言っても、 図書室の本にある訳を持ってきて、 本文のどこに当てはまっているか見当をつけてつなげるだけなんですけど、 それをやらせて、 教壇に出てもらい、 授業をやってもらうことにしました。
 ただ放っておいても 「教材研究」 はできませんから、 調べている間に僕が 6 人のところに行って、 個別に教えたりするんですけど、 授業としては、 6 人それぞれが自分のテーマとして見つけたもので自分で授業をやれ、 としたのです。
 それをもとにテストをやるぞということにして、 テストをやるためには、 生徒の授業の内容を把握しなければなりませんから、 必死でノートを取って、 質問をして。 私が一番優秀な生徒です。 これ、 形を変えて、 1 年間、 続けています。 そういう形で少しは実践があります。

  プロジェクトチームの結成

活動方針のもう一つは、 プロジェクトチームを作ってやっていかないと 「総合学習」 の実現は難しいだろうと考え、 プロジェクトチームの結成ということを決めました。
 3 つめは、 校内研修をやっていくということ、 4 つめは、 情報が必要ですので 「総合学習」 に関する情報収集。 これは、 小学校・中学校の情報がほしいのです。 小学校・中学校で何をやっているかが分からないと高校でやるべきことが分かりませんので、 その情報を集めること。 高校でも総合学科ですとか専門高校のほうではいろいろやっておられますから、 「産業社会と人間」 ですとか課題研究といったものの情報も集めるということを考えました。
 また、 大学で、 「平和学」 とか 「京都学」 とかいう一つのテーマで、 いろんな従前の講座を横に切ってやる講座というのが何回か新聞に載っておりましたので、 進路部に頼んでそういう情報がないか集めるということをしています。
 校内研修を 7 月に組みました。 これもまた自前でして、 今度は横浜市教委の横浜市教育センターの方に講師として来ていただいたんですが、 この方は、 3 年生の保護者です。 校内研修を経て、 漸く 9 月にプロジェクトチームが結成されました。 各教科 1 名と 「総合学習」 編担当者の計10名で月 1 回会議をやっていく予定です。 10月19日、 ついこの間、 第 1 回目の会議が行われました。
 会議で方針が 2 つ出されました。
 一つは、 先ほど申し上げた、 大きなテーマを具体化するアイディアをみんなで見つけていこうということです。 その際、 いくつか注意事項、 留意点というのが挙げられまして、 その一つに 「地域の教材や学習環境の活用」 というのがあります。 地域を意識し始めたということです。
 学区が拡大・撤廃される可能性が神奈川で出てきました。 県政モニターで60%が学区撤廃の意見というニュースがありますし、 今、 学区と入選の検討を県のほうでやっていますが、 学区拡大の方向はほぼ間違いないだろうという情報があります。
 上とか下とかいう言い方は失礼だと思いますが、 上位校と課題集中校は必ず生徒が集まると思うんですが、 真ん中はすごく苦しいんですよね。 これはもう地元を大事にしなければいけない。
 私の勤めているところは狭いエリアに幼稚園から大学まで揃っていまして、 岡津幼稚園、 岡津小学校、 岡津中学校、 岡津高校、 フェリス大学とありますので、 地域 5 校の連携という可能性もあります。 そういうこともありまして、 とにかく地域の教材や学習環境の活用ということを具体化方針の中に入れています。
すると一つ問題が出てくるんです。 地域とは一体何なんだ、 という話になってきます。 元々現行学区でも、 小学校や中学校に比べてあまりにも広い。 高校にとって地域とはそもそも何なんだということをこれから考えていかなくてはならない、 大きな問題になってくると思います。
 学校を中心とした何かコミュニティを作るというようなことになっていくのかなと思っております。
 もう一つ、 方針として会議の中で出ましたものは、 プロジェクトチームの各メンバーが、 とにかく授業内で何かやる。 何か実践をする。 そしてそれを実践記録集としてまとめるということです。
 沖縄の修学旅行をもう10年ぐらいやっておりますが、 平和学習をいろんな教科で事前学習としてやりますので、 それをもうちょっと大がかりでやってみてはどうか、 ということではっきり決まっているわけではないんですが、 そういうアイディアを言っている方がいらっしゃいます。
 ただ、 今年、 テロと報復戦争のお陰で旅行が中止になっちゃいましたので、 今の 1 年生に何とかそれをシフトできないかと考えています。 そういう意味でも早く戦争が終わってほしいんですけれど。
というところが現在までやってきたことですが、 時間がなくなってしまいました。 課題として、 今、 考えていることをポイントだけ申し上げます。

   今後の課題

 一つは研究所ニュース 「ねざす」 にも書いてありますが、 「学力低下批判」 というのが 「総合学習」 のアンティテーゼとして出ているということです。 要するに、 高校で言えば進学対応に邪魔だというような話になっていくかという話です。
 これは学力とは何かということにつながっていく話だろうと思います。 「総合学習」 というのは、 学力観を転換する一つの大きな実験というようにも考えています。 進学で考えますと、 大学審というのがありますが、 去年の 4 月に中間報告が出ています。
そこで、 センター入試の改革ということで、 教科科目横断型の総合的な問題や総合的な試験をセンター入試でやるように検討すると書いてあるんですが、 その後どうなっているのか、 ニュースがありませんので、 もしお教え願えればと思っています。
 もう一つは評価の問題です。 評価と言いますよりは単位認定ですね。 高校である以上は単位認定があるんですが、 今までの教科学習の単位認定とまるで違う内容になると思います。
 教科学習だと教員が設定するレベルにどれだけ近づいてくれるかで評価を出すし、 あるところからは単位を認定しないという話になると思うんですが、 「総合学習」 ですと生徒のところまで降りていって、 下からどれだけ上がったかというので評価をしていく。
 その場合、 どういうときが認定しないのかということになると思います。 いろんな本を読みましたけれど、 単純に考えていくと結局、 出席時間ということしかないようになると思うんです。 が、 それでもまた、 問題が出てくると思います。
現行でも、 授業に参加しなくても単位を認定しているということがあるわけです。 一つは保健室登校とか不登校の生徒に関して、 出席時間が足りなくてもレポートをやらせたり、 試験を保健室でやらせたりして、 進級判定会議や卒業判定会議でクリアさせるということをやっています。 彼らは、 「総合学習」 の場合、 どうなるんだろうということがあると思います。
 もう一つ、 授業に全然意欲のない生徒というのは必ずいるわけで、 授業中ずっと漫画を読んでいる子もいます。 ところが、 テストで点を取っちゃうんです。 点が足りなくてもこちらで課題を出して補充したりして、 何とかクリアさせるということがあります。 彼らは授業には参加していないわけなので、 そういった子たちは 「総合学習」 の場合はどうなるのだろう。
 単位認定と単位不認定を一体どこで切ったらいいんだろうというのが大きな問題になると思います。 通信制も 「総合学習」 をやるわけですから、 通信制ではどうやるんだというのが一つ参考になると思います。
 その他、 私は演劇ワークショップというものに興味を持っているんですが、 時間が大分オーバーしましたので今後の話の中に出てくれば話したいと思います。
佐 藤: ありがとうございました。 平均的サンプルとおっしゃってましたけれど、 幾つか参考になったのではないかと思います。 私のほうで感じたところでも、 推進母体をどうするのかという辺りは結構重要なポイントになるというところですとか、 あるいは、 地域との関係、 また、 「総合学習」 の検討に留まらないで今までの教科をどう見直していくかというところまで踏み込んでいかざるを得ないんじゃないか、 そういった辺りが現場から生まれたものとして共有できるんじゃないかと思います。 すぐ後に、 今の話を踏まえてというのは心苦しいお願いではありますが、 その辺りを長尾先生にフォローしていただければと思います。
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