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 沖縄平和ネットワーク 「首都圏の会」
                                        柴 田   健

 沖縄修学旅行実現から10年経過した。 昨年末、 平和運動推進委員会では記念誌 『神奈川からの沖縄修学旅行・10年』 を刊行した。 私たちの取り組みの成果を他府県にも広げたいと考えたためである。
 多くの高校が平和ガイドを依頼している、 沖縄平和ネットワークの 「首都圏の会」 が 3 月 6 日に発足した。 学校教育と市民運動の両面から、 沖縄の戦争と平和の現実に迫ることを目的としている。 神奈川での学習会も11年目を迎え、 次の段階を模索している時期でもあった。 神奈川・東京・千葉・埼玉の 4 都県を対象に想定しているが、 東京・埼玉は各校が個別対応しており、 まとまった声がかけにくい状況にある。
 全国的に 「つくる会」 勢力などに主導された管理教育が厳しくなっているが、 「日の丸・君が代」 押しつけなどの国家主義教育に対して、 正攻法で戦える状況にはない。 生徒に対する教育の中身で対抗するためには、 普通の高校で自然に平和学習が行われることが必要である。 憲法 9 条と教育基本法の危機を逆手に取りたいものである。
 幸い 「9.11」 以後、 一旦落ち込んだ神奈川からの沖縄修学旅行は復活している。 だが、 沖縄に行く学校が急増し、 玉城村によるアブチラガマ (糸数壕) の有料化 (04年 7 月からは直接申込みが必要) や具志頭村・ガラビ壕の地主による立入禁止措置などの阻害要因も起きており、 一工夫必要な段階に入っている。
 3 泊 4 日で、 初日は首里城などを見学して、 夜、 沖縄戦体験者などの講演を聞く。 2 日目は南部戦跡中心の平和学習、 3 日目は中北部のグループ別自主行動 (レク)、 最終日は国際通り散策という、 神奈川の典型コースが組みにくくなってきている。
  「講演・ガマ・平和祈念資料館」 という平和学習 3 点セットに固執しないで、 柔軟な組み立て方ができるように思う。 「ガマ問題」 も、 読谷村のチビチリガマであれば中に入れなくても参加者は納得するわけで、 イメージの再構築が求められている。 したがって、 新たに中北部地域の戦跡に学ぶ学習活動が必要である。
  「戦争遺跡保存全国ネットワーク」 という、 現物保存を目指している、 影響力を伸ばしつつあるNGOがあり、 神奈川では慶應日吉の 「連合艦隊司令部地下壕跡」 保存グループなどが参加している。 その 「戦跡保存ネット」 をリードする 「沖縄平和ネットワーク」 の運動の質を向上するためにも、 私たちが多彩なコース設定を現地に提案していく時期にきているのであろう。
 戦後59年たち、 講演・証言される方々の高齢化は否めず、 証言の画像保存だけでなく、 様々な 「現物」 利用の平和学習を作り上げていきたい。
  
   
(しばた けん 県立新羽高等学校教員)