アンケートの声から
 
武 田 麻佐子

集会参加者50名のうち、 16名から回答があった。 記述は以下の通りである。
  性別  男 12     女  4
  年齢  30代 2    40代 4    50代 8    60代以上 2
  職業  高校教職員 11  会社員 1  自営業 1  公務員 1  OB 1

この教育討論会をどこで知ったか
  チラシ・ポスター 8   研究所ニュース 「ねざす」 7   同僚・知人 1
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教育討論集会の感想
  よかった    5
様々な立場からの実態報告、 意見表明があったこと
日頃忙しさに埋没している者として、 様々な角度から教育課題を学べる機会です。
最後のまとめが良くまとまっていた。 会場から意見が、 大枠の見方がいくつかと、 現場の具体的状況がおりまぜて出されていてとても良かった。
あらためて教育現場の市場化が超スピードで進行していることを知った。 「暗い現実」 を知ること、 それを踏まえ「希望を持って進もう」 という金沢さんの発言はよかった。 (「現実」 キビしすぎるけど)

 ややよかった  5
いろいろな問題について、 知ることができて、 自分の勉強になった。
思ったより参加者は多く、 意見も多様に出されよかった。
多方面に渡る 「教育問題」 (←格差社会が生み出した) の切り口を聞くことができた。
学校の問題を教育の枠組みだけで考えることはできない、 ということを改めて確認できた。
日々 、 校務に追われていると自分のことだけで、 いっぱいいっぱいで、 まわりの状況が見えません。 今日は、 定時制の問題やキャリア教育の問題などさまざまな視点からの話を聞くことができてよかったです。

 普通      1
自由討論の時間は興味深い話があったが、 前半の報告・発言をもっと短く要点をまとめてほしかった。

 やや悪かった  2
現場に即した討論には乏しかった。
もう少し焦点を絞った方がよかったかと思います。

 悪かった    0

現在の高校制度や本日の教育討論会のテーマである格差問題について
格差の構造 小さいところでは派遣労働を認めた所にある。 大きな所では、 上流階層による中流つぶしである。 下流は上流についてくるので問題はない。
困難な中でどこに希望を見いだすか? 明けない夜はないと信じて  。
やらせ請願、 やらせタウンミーティングの質問、新自由主義運動の流れは、 政治的・組織的な動きで、 無理矢理進行している。 恐しい限りです。 市民の目線に立った展開が望まれます。
貧困家庭の生徒について毎日考えさせられていますが、 学校、 家庭、 地域などどこかに「居場所」 があればいいと思います。
階級闘争の視点をいかに学校労働者の中に作っていくかが目指されなければいけないと思っている。 価値観を変えていくのも、 その中でこそ追求が可能だと思っている。
教育を受ける権利は生存権の一つとしての位置づけから世界の経済の大条件から論議するととも、 教育の役割を学校の場に限定しないで取り上げる。 両面から検討することも考えられないでしょうか?
格差について、 組合としてそのしわ寄せを受けている学校についての支援をもっといろいろ考えてほしい。 (その代わり、 もっと別の仕事を切っていくことも考える。)
新 「多様」 化が今日の状況を先取りしている。 本人の自己選択に自己責任を押し付ける「個性」 の名による選別は、 神高教 「高校教育改革計画」 も然りである。 そう2003年のこの集会で発言させていただいた。
根深い問題であることは分かるが、 手に負えない問題でもある。 しかし、 家庭が成り立たない子どもも存在する様な話も出され、 その子どもたちを引っぱり上げる作業をするには教職員には力不足、 そこをワークシェアリングなどの考えで手だてをする人的配備を!
観点別評価がもたらすもの (中高中心に)
討論中に発言しましたが…来るべき国家像、 包括的な教育政策を日教組や連合が国民に示さなければならないと考えます。
格差は急速に拡大していることを踏まえ、 労働法制を軸に検討する必要があると思います。

今後の教育討論集会やシンポジウム テーマ
マスコミの偏向、 意図するところを明らかにすべき。
外の人たちと接点がとれる内容で議論を恐れずやってみたら
観点別評価がもたらすもの (中高中心に) 実情、 問題点を追及してほしい。
教員評価による 差別給 の問題点
引き続き、 このテーマを続けるべき
教育の商品化 を問う−真の 「ニーズ」 とは?
地域にねざす教育と父母・地域住民との連帯
課題集中校の教育内容改革について。 課題集中校支援対策。 シニアボランティア 課題集中校の先生方を応援します。
「近未来の学校」 はあまり考えたくありませんが… 「昔の学校は良かった」 は楽しい話題ですがどこまで言えるか。
偽装履修問題の論議の中で出てきた 1 つのテーマ。 高校教育の持つ独自性を人間の教育活動の中で位置づけるのか?
教育委員会制度について

その他
もう少し広い広い会場を用意してください。 (このような会で満席というのはすごいことなのでしょうが)
最初の指名しての発言は必要ないでしょう。 参加者の発言に時間を使うべきです。
「観点別評価」 のもたらしたもの
日頃、 地道な研究をされていて頭が下がります。
神高教のシンクタンク充実が急務と考えます。
神奈川の教育研究所主催とのことでしたので、 神奈川の中の現在の高校の様子 (問題) が出て来るものと期待していましたが、 現在国家的、 教育的話題の 「教基法」 等を含め高尚な話で、 理論先行の感じを受けました。 オープンな会であることには敬意を表しますが、 一般人にも理解できる討論会となれば良いと思いますが…。

アンケートを読んで
 終了時間が大幅に過ぎていたにも関わらず、 多くの方がアンケートにご回答下さった。
 内容については、 おおむね良かったとの評価が多かった。 学力低下・いじめ・偽装履修・教員の質の低下など教育に関する話題がマスコミをにぎわしている中で、 安倍政権の教育政策や、 教育に関する市民感情について再整理できたためと見られる。 一方で、 話題が多岐にわたったため、 「焦点を絞った方が良かった」 「現場に即した討論には乏しかった」 という指摘もあった。
 会場からの意見は、 格差社会や労働施策の問題点にふれるものもたくさんあった。 教育や社会を巡る状況は真っ暗だが、 どこかに光があることを信じているからこそ、 あえて集会に参加もしていただけたのだろう。 その光が何であるのか、 研究所としてもより分析を続けていきたい。
 今回は教育基本法の改悪反対等、 様々な集会が開かれている中、 当初の予想を超えた人数の参加をいただいた。 参加者層は、 依然として、 中堅以上の教員と元教員が占める。 が、 HPを見て参加いただいた方もあったことは特筆に値する。 昨今の情勢に関心を持ち、 情報にアクセスする・参加するという具体的行動を起こす市民の方々がいることは、 研究所としても心強い。 「…理論先行の感じ」 「一般人にも理解できる討論会となれば良い」 と記載頂いたご意見を真摯に受け止めたい。 平和・人権関係の集会などにはインターネットでつながった若者層の参加も多い。 研究所も若い層と共に考え行動するための情報発信を工夫せねばならないだろう。 インターネットへのアクセスは、 私たちと全く違う方向からの発想の方々も、 興味を持って見つめていよう。 今後そのような層からの参加も想定して議論を積み重ねていくことが必要だ。 また、 コンピュータが普及したとはいえ、 それを所持する人間はまだ大多数とはいえない。 当面は、 チラシ・ポスター・口コミ等も共に有効な媒体である。
 会場については、 討論しやすいようフロアー形式に変更した。 このことにより発言がより身近に感じられたのではないかと思う。 参加人数の見通しが甘く空間的なゆとりがなかったことは反省点である。
 今後のテーマとして 「外の人たちと接点がとれる内容で議論を恐れずやってみたら」 というご意見があったが、 「地域にねざす教育」 「父母・地域住民との連帯」 「教育の商品化 を問う  真の 「ニーズ」 とは?」 というようなテーマでの議論に際しても、 立場を異にする人々との本音での討論を行う時期に来ているのではないか。
 また、 ここ数年、 県内で動きのある 「観点別評価」 や教員の 「人事評価と給与問題」 などにも、 現場で困惑があることもうかがえる。 教育研究所の視点からの問題提起を考えてみたい。
  「教育委員会制度」 は、 教育関連の法律の動きとの関わりの中で、 問題点を整理し討論していく必要があろう。

たけだ まさこ (教育研究所員)
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