特集 : 検証「特色づくり」「新入試制度」
 

「素朴な疑問と勝手な不安」

藤田 礼子 

 

 新入試制度になり、親の一人として感じた疑問や不安を書いていきたいと思います。

〈中学校の説明を聞いて〉

  1. 行きたい高校は2校ある?
     高校の特色と自分の個性や進路を考え合わせて高校を選ぶ。「行ける高校から行きたい高校へ」なるほど。でもどうして2校?この通りなら、2校選ぶことはできません。もし2校選ぶとすれば、行きたい高校は少し自信がないので、少し易しそうな高校を選ぶということになるとなります。結果、第2希望校進学といったことになったら、子どもは気持ちよく新たなスタートをきれるのでしょうか。この制度自体、第1希望校不合格者が出ることを前提にして成り立っているようでとても不思議。

  2. 定員が減るのと同じ?
     複数志願制のため、定員の80%を第1志願者から、残り20%を第2志願者から選ぶということ。例えば、A校の同一志願者が多ければ、第2志願の倍率はそれだけで4倍近くになり、他校を第1に、A校を第2希望にする者が加わればその倍率はさらに高くなってしまいます。第1希望で合格してしまえば、A校の第2志願者は何人になるのか、また同一志願者が多いのか、他の上位校の第2志願者が多いのかによって合格ラインも大きく変わるであろうし、いずれにせよ、やってみなければわからないという状態。第2希望は倍率も合格ラインも行方全くわからず当てにはできないので、なんだか定員が減るようで不安。

  3. 何を基準に合格を決めるの?
     第1志願者の80%の70%=全体の56%は内申と試験の成績で、残りの44%は(含む第2志願者)高校の重視する内容を考慮しつつ決定するとのこと。これらの内容をどう使い、どの程度なのかという具体的なことはわからないまま半分近くの合格者がきまってしまう。何が合否の基準となるのでしょうか。とても不安。

  4. 内申だけで目安になるの?
     内申の点数は同じでも学校間に大きな格差はないのでしょうか。以前はアチーブメント・テストがある程度の物差しになり、自分たちで大方の予測ができたと思います。今年はそれがないので少し不安。


〈入学検査を終えて〉

  1. 何という倍率!
     新聞やテレビでの発表の実受検者数は定員を大きく超える倍率。わかっていたこととはいえ、子どもは?友人は?と不安。

  2. 合格発表までとても長かった
     制度が複雑なせいで合否判定に日数がかかったのでしょうか、高校の先生方は大変お忙しい思いをされたと思いますが、発表を待つ身には半月はとても長くて不安。

  3. 合格発表……?
     封筒に入った通知を見ての合格発表。一見子どもに優しそうですが、子どもたちはお互いの顔をチラッと見ながら結果を推測し胸中複雑。もし不合格なら、一人第2希望校へ。先生方も親も念を押すのだから、不安に拍車がかかり、子どもにとっては酷だったかも…。

  4. 定員オーバーでも二ケタ欠員?
     私たちの学区では、二ケタ欠員募集校が何校も出て、全体で百名以上の欠員募集があるとの新聞記事を読みました。確か定員もオーバーしていたし、不合格者も出ているというの噂だし、何故こんなにたくさんの欠員が出てしまったのでしょうか?(結果的に狭き門)
     結局これらの疑問や不安は私だけの誤解かもしれません。わからぬまま不安を抱えて新制度入試を終え、大半の子どもたちは、例年通りどこかの学校で高校生活を始めています。そういう点から見れば、大騒ぎしても従来通りに落ち着いたのかもしれません。ただ、親としては、制度のせいで子どもたちが悲しい思いをすることなく、新しい高校生活を気持ちよくスタートできたら……と勝手に思っています。 

(ふじた れいこ 保護者 大和市在住)

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